坂村真民
鈍刀をいくら磨いても無駄なことだというが、何もそんなことばに耳を借す必要はない。
せっせと磨くのだ。
刀は光らないかもしれないが、磨く本人が変わってくる。
つまり刀がすまぬすまぬと言いながら、磨く本人を光るものにしてくれるのだ。
尊いのは、頭ではなく、手ではなく、足の裏である。
一生人に知られず、一生きたない処と接し、黙々として、その務めを果たしてゆく。
しんみんよ、足の裏的な仕事をし、足の裏的な人間になれ。
頭から光が出る。 まだまだだめ。
額から光が出る。 まだまだいかん。
足の裏から光が出る。
そのような方こそ、本当に偉い人である。